かぶれる体質

昔、アメリカへ出張に行った。初めてだった。飛行機に乗る前からワクワク。自由の国アメリカ。憧れの国アメリカ。もう、たまらなかった。

飛行機に乗り、もう日本語は話したくなかった。英語がペラペラしゃべれるわけではなかったが、それでも日本語は話したくなかった。

アメリカへ着いた。周りにいるのは皆外人。と思ったら、外人は私だった。みんな英語で話してる。何言ってるのか分からない。信号機なんかもヒモでつるしてある。車は右側を走ってる。

ああ、アメリカだ。ここがアメリカなんだ。と、英語で思った。

仕事は無事終わった。

日本に帰りたくなかった。でも飛行機に乗った。

独身寮の部屋に帰ってきた。カレンダーを英語のものに替えた。テレビはCNNにした。日本語の文字が見える本はすべて隠した。

そんな私はかぶれやすい体質なのでせうか?

かぶ・れる 【▽気触れる】

(動ラ下一)[文]ラ下二 かぶ・る
(1)漆・薬品などの刺激で、皮膚に炎症や発疹が生じる。
「漆に―・れる」「春の野やいづれの草に―・れけん(羽紅)/続猿蓑」
(2)影響を強く受けて、その風(ふう)に染まる。普通、批判的な意で用いる語。
西洋文化に―・れる」

三省堂提供「大辞林 第二版」より