義足のゾウ

義足をはめて歩くゾウ
地雷で足を失った


「かわいそうに」
「気の毒だ」


もし、私がゾウだったら・・・




泣き叫んで日々を暮らすだろうか
地雷を設置した人を恨むだろうか


やけになって、酒びたりになるだろうか
身近な人に、やつ当たりするだろうか


地雷の撤去をしなかった政府に抗議するだろうか
世界中の地雷を撤去しろと、叫ぶだろうか





でも、彼はそうしない
ただ、目の前の現実を受け入れる


だから彼は「かわいそう」なんかじゃない
だから彼は「気の毒」なんかじゃない


だって彼は生きている
主体的に生きている
左前足に義足をはめて