内側から

「はい、分かりました。」
大きくて、ハキハキとした返事。



「うーん、分かったんだね。」
そう思ったのが間違いだった。



派遣されてきたアルバイト。
会社でミッチリ練習したらしい。



大きくて、ハキハキとした返事を。
実際彼女は「分かって」いなかった。



分かっていたのは
大きくて、ハキハキとした返事が
喜ばれるということだけだ。



大きくて、ハキハキとした返事が
彼女の内側から出てきたかどうかを
見抜けなかったのは、私だ。

外見が内面を作るのではない。「外見は内面の影絵に過ぎない」ので
あります。
山見博康「人に好かれる法百ケ条」第三十二条より