自分
どうしようもない自分の向こうに
もうひとりの自分がいて、
いつも優しく見守っている。
彼は何も言わない。
答えを求めて見つめても。
あきれるような自分の向こうに
もうひとりの自分がいて、
いつも優しく微笑んでいる。
彼は何も言わない。
昔からいつもいるのに。
彼は一体誰なんだ?
「オレたちひょうきん族」で売れ出した二十五、六のときは、こてこてに太っていました。目に入る物は全部欲しくて、それを手に入れることが、今の自分のタレントとしての位置を測るバロメーターだと思っていたんです。でも、レギュラー番組をたくさんもって、女の子とも付いて離れてを繰り返す生活をしているうちに、恋愛も、仕事も、いったいなにをやっているんだと思ってしまったんです。実がない、嘘ばっかりついている自分がやんなった。そして、よぶんな脂肪がついている自分の体もやんなって。
(片岡鶴太郎「あしたは鶴日和」より)