願望

夢を実現するためには、ずっとその願望を持ち続けていなければならない。私はもう四十年以上も持ち続けているのだ。
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練習方法についても、私はいろいろな非難を受けた。
「また故障者かい、そんなにしょっちゅう故障者が出るような練習じゃしょうがないじゃないか」
人間は、自分が一番正しいと思っているから、他人に対しては勝手なことを平気でいうものだ。そんなきまぐれをいちいち気にしていたら、何もできなくなってしまう。
「そうだよ、また故障者だ。まいった、まいった」
そんなふうにしながらも、馬耳東風と自分の練習を継続していくと、やがてだんだんに選手が力をつけてくるようになる。一人、二人と、光る選手が増えていく。
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人間なんて勝手なもので、有森が銀メダルや銅メダルを取ったり、高橋が優勝したりすると、いままで私をさんざん批判した人が、今度は手のひらを返したように賞賛し始める。
そんな経験を何回もしてきたから、私は、自分で何か一つのことをやり遂げようとしたら、ある程度信念を持って貫かなければ成功しないと知っている。いいかえれば、頑固であるということである。信念がないと、どうしてもあっちに流されたり、こっちに流されたりすることになる。
(「君ならできる」小出義雄より)