愛だろ、愛

自分がそんなふうだったから、生徒には何らかの喜びをもとめられるようにしてやるべきだと思っていた。ところが教員の中には、勉強ができないからと生徒を馬鹿にするような人もいた。私は、その教員に面と向かって、はっきりといってやった。
「先生というものは、勉強を教えるのは当たり前だが、それよりももっと大事なことがあるんじゃないですか。「生きる力」を教えることですよ。それが本当は一番大事なんじゃないですか」

そんな私を他の教員たちは白い目で見ていた。だが、私は自説を決してまげようとはしなかったし、進んで実践もした。どんなに勉強ができない生徒でも、私は決して自分から指導を放棄したりはしなかった。そんな生徒でも「生きてて嬉しいな」と思えるような夢と希望があれば、顔が自然にほころんでくるし、目も輝いてくるのだ。
(「君ならできる」小出義雄より)