プライド

「私、あの人の言葉に傷ついたわ」

「うっそー、他人の言葉に傷つくなんてできるの?」

「だってヒドイコト言うのよ、あの人」

「確かに何かを言ったかもしれないけど、それがヒドイコトって誰が決めたの?」

「誰が決めたって、そりゃ、いわゆるヒドイコトを言うのよ、まるで私がバカみたいに。」

「で、あなたがバカみたいって思った、一体その人は誰よ?」

この言い方が適切かわからないが、そのような仕方で自分に恥じない、それを「プライド」と呼んでみる。他人に恥じるのではなく、自分に恥じない。これが本当のプライドである。「本当」の根拠は天にある。天に恥じないことをしているから、他人にどう見られるかは問題ではないのである。
(「41歳からの哲学」池田晶子より)